火渡り祭

高尾山火生三昧火渡り祭解説

火生三昧火渡り祭は、高尾山御本尊の飯縄大権現様のもつ衆生救済の御利益を、修験者の修行により、御信徒が享受する火行修行です。道場には御本尊飯縄大権現が奉祀され、四方に真竹、幣束が付けられた注連縄を張った柴燈護摩壇が設けられます。この火行は大勢の御信徒が見守る中、「阿字門の儀」、「床堅の儀」などが、読経とともに厳粛に執り行われていきます。各作法にはどのような意味があるのか、火渡り祭の進行に沿って画像を交えてご紹介いたします。

阿字門
- あじもん -
火道場の入口。
大宇宙を凝縮した真理の世界である道場に入り修行をするということは、我々凡夫と仏が融合(=入我々入【にゅうががにゅう】)し自身の肉体を転ぜずして、即身に成仏する事を目的とする。
大導師招待
- だいどうししょうたい -
修法する導師を本座へ案内する作法。
火切加持
- ひきりかじ -
金剛の智慧【ちえ】の火により道場内および行者の不浄を焼きつくす作法。
床堅
- とこがた -
凡身即仏【ぼんしんそくぶつ】の行儀にして、行者の肉身その儘が即ち大日如来であると観ずる作法。
神斧
- しんぷ -
柴燈護摩【さいとうごま】の檀木【だんぎ】である木を切り出す作法。
寶剣
- ほうけん -
道場内の魔と自心の魔を断ちきる作法。
法弓
- ほうきゅう -
四方の外魔を道場内に入り込ませない作法。
願文
- がんもん -
御信徒各位の願い事を本尊に述べる願いの文。
閼伽
- あか -
釈迦如来の心水である。この清浄無垢の閼伽水を本尊に供えた後、点火をする。
点火
- てんか -
梵天御輿加持
- ぼんてんみこしかじ -
梵天札を差した御輿を行者が担ぎ、柴燈護摩壇のまわりで御加持する。
散華・梵天祓い
- さんげ・ぼんてんはらい -
本尊に供養の華を散き、仏法の守護神である梵天の大威力【だいいりき】により身口意【しんくい】の三密を清浄にする。
湯加持
- ゆかじ -
大釜にて湯を沸かし水天【すいてん】と同体となった行者が熱湯で其の身心を清める作法。
火生三昧表白
- かしょうさんまいひょうはく -
本日の火生三昧の趣旨を本尊に啓白【けいはく】する意、「表」は内心を表示し「白」は祈願を啓白する。
清浄払い
- しょうじょうはらい -
火渡りに際し再度、魔を振りはらう作法。
火生三昧
- かしょうさんまい -
不動尊の三昧であり、一切の悪魔【あくま】煩悩【ぼんのう】怨敵【おんてき】を降伏【ごうぶく】しつくし安穏解脱を得ると言う不動尊の本誓を火を渡ることにより実践修行とする。
御信徒火渡り
- ごしんとひわたり -
悉く清浄となった本尊の智慧の火を渡る事により諸願の成就を祈る。