霊峰富士第七箇度登拝修行③

     7月21日(日) 二日目

 

 

 

 

                雛鶴神社の森の中を歩く私の前に現れたのは、なんとも心細い

     木の橋だった。

     一人また一人と順調に渡る中、橋が真っ二つに折れる光景が

     脳裏をかすめる。

     そんなコントみたいなことある訳がないと思いつつも、一歩一歩

     と進むたびギシギシと音を立て軋む橋。

     大きな体のわりに、小心な自分が情けない。

     森を抜けるとまた、アスファルト道。土の気持ちよさを実感した。

     照りつける日差しに、笠が欠かせない。もちろん日焼け止めも。

     富士吉田に入り、もう少し・もう少しと自分に言い聞かせる。

     夕刻が近づくにつれ、疲労度もピークに。

     小室浅間神社からは旗を掲げながら歩く。

     足の疲れと腕の疲れ。残るは気力のみ。

     宿泊先の大国屋さんが見えてきた。

     <早く休みたい!>こんなにも・こんなにも強く思ったのは、初めて。

     明日からの富士登山が不安になった。

     天狗の落とし文

             円満に 朗らかに