高尾山ブログ 天狗のひとり言


霊峰富士第七箇度登拝修行⑥


8月 13

     7月24日(水) 最終日

 

 

 

 

     深い深い霧。山頂を見上げようにも白い霧が覆っている。

     8合目を出発してからだいぶたつ。高山病か頭もクラクラ

     してきた。ここからさらに登ると思うと心が折れる。

     だめだ・・・限界だ・・・、ハッ 夢か~。

     深夜から登り始め、空気の薄さと冬のような寒さが体力

     を奪う。風も厳しい。山頂へと続くヘッドライトの光の行列

     が白い霧のなかに一筋の道しるべとなる。

     山頂まであと少し。

     勾配のきつい石段を登りきると開けた場所にでる。

     山頂は人で埋め尽くされていた。

     人々が「おめでとう」と互いの健闘を称えあう。

     やっと山頂だ。感動と達成感がじわじわと心に押し寄せて

     くる。

     あいにく天候は悪くご来光は拝めそうになかった。

     あたりに霧がたちこめる中、お鉢巡りに出発。

     目指す剣が峰は日本一高い3776m。油断大敵、山頂

     なのにまた登る。一度緩めてしまった心。足が重い。

     砂浜のような登り坂に足をとられながらも、やっとの

     思いで、日本一高い地上に立った。

     下界は霧で見えないが苦労して登った達成感だけで

     満足だった。     富士山頂奥宮を参拝後、すぐに下山となった。

     足を滑らせながらの下山は登山よりも負担が大きい。

     降りしきる雨の中、なんとか5合目まで下山した。

     帰りのバスの中、これまでの道中を思う。歩いて2日間

     かかった道のりもバスではたったの2時間。

     流れる景色を見ながら、丸太のような足をさする。

     道中を共にした皆さんと自分の足に「ありがとう」

     天狗の落とし文

             当たって くだけろ




霊峰富士第七箇度登拝修行⑤


8月 13

     7月23日(火) 四日目

 

 

 

 

     眼前に広がる下界の景色。昨日までは景色を眺める

     余裕もなかった。

     5合目から先はガイドさんが付き、呼吸を整えながら

     登る。

     標高2700m。ガイドさんの絶妙なペースのお蔭で、

     空気の薄さはまだ、実感出来ない。

     ここら辺りから切り立った岩場が続く。緑もほとんど

     目にしなくなった。

     手をつき、這いつくばるようによじ登る。余裕が消える。

     ようやく岩場を登りきると、標高は3000m。

     空気の薄さを感じ、深呼吸の回数も増える。

     高山病は今のところ大丈夫。

     15時過ぎには8合目の元祖室に到着。

     御来光を拝む為、明日は午前1時に出発とのこと。

     ああ眠りたい。でも、寝床が狭くて・・・眠れない・・・

     明日は長い1日になりそうだ。

     天狗の落とし文

             驕れる心は 捨てないと




霊峰富士第七箇度登拝修行④


8月 13

     7月22日(月) 三日目

 

 

 

 

     北口本宮富士浅間神社にて、道中安全と修行の無事

     成満を祈願し、次の目的地である、吉田胎内に向かう。

     胎内巡りは経験者の話を聞くと、とにかく狭いとのことで、

     途中で抜けられなくなる恐れがあった。

     心配しながらも吉田胎内に到着。

     ヘルメットを装着して、いざ胎内巡りへ。

     深い闇に入口からビビる自分。皆に煽られる様に中へ

     と進む。

     奥に進むほど、ひんやりとした寒さに包まれる。空間

     が広くなったところで、ヘッドライトを消し、法楽。

     地上に向けて、別の道を行く。進むにつれ狭くなる道。

     天井に頭をぶつけながらも、這うように進む。

     外界の光が差し込んで、出口まであと少しのところで、

     つっかえる。難産。「やばい、抜けられない!」

     無理やり身体を捻って、なんとか這い出した。

     一人だけ全身どろどろ・・・。

     ≪プライマルスクリーム≫人生で一番の苦しみは、

     生まれるときだという。泣きながら生まれてくる赤ちゃん

     の気持ちが分かった気がした。

     十界修行も始まった。穀断・水断・・・。これまでの道中

     で一番キツイ。

     食べられないのは耐えられても、飲み物は我慢出来ない。

     流れる汗。山道を登るにつれ、咽喉の渇きが増し、

     疲労感も増す。つらい…ツライ・・・辛い!

     1時間以上にも感じられた水断は、日頃の自分を戒める

     には充分だった。

     水断が終わり、咽喉から身体中に沁みわたる水は、

     その大切さを身体の内から刻み込んだ。

     5合目につき、宿泊場所の佐藤小屋さんが見えてきた。

     安堵。

     しかし、明日は更にキツイのだろうか。

     天狗の落とし文

                苦難に 負けない